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Alive In My Heart (3) 

 銃弾が飛び交う戦場に来てからといって、私は特に戦場に来たという実感が沸いたということは無かった。年齢もバラバラな部隊の仲間は皆、連発が可能な銃を肩から提げて同じ服を着る。私には初めての射撃経験だったが、一週間もすればそんなことにも慣れてしまった。毎日をただ命令されるままに走り、ただ命令されるままに銃を撃った。私達の部隊は常に前線からすこし離れた場所での後方支援が主な作業で、部隊の誰かが負傷したという話も聞かなかった。無論、そんな毎日に娯楽が無いのは間違いなく、私は夜になるとイラだちながらも酒を煽っては自分を誤魔化して眠りについていた。
 ある日、別段変わった訳でもなくそれを繰り返していた私は、誤魔化して作った気分が良い状態を維持したまま「たまには外に出てみよう」と思い立ち、ウイスキー瓶を片手に外に出ることにした。テントを抜けて、焚き火の周りで他の部隊の酔った男が、私達の部隊の仲間と談笑をしているのを横目で見ながら。私は一人、遠くでランタンを小さく照らしているテントに興味本意で近づいていった。
 湿地帯は足場が悪い。ぬかるむ足場に転びそうになりながらも、私が何となく近づいたランタンの灯るテントには「衛生テント」と屋根に記載されていた。私がテントに近づいても、テントの中は人が入っているのかいないのかが定かではない程に静かであった。「もしかしたら誰も中にいないのではないだろうか…」そう思った私は無性に明かりの燃料が勿体無いと感じ、テントの入り口を徐に開けて中を覗き込んだ。
「どうかされましたか?」
ふいにテントを覗き込んでいる私の後ろから女性と思われる声が聞こえた。すこしドキリとした私は一瞬だけ体を強張らせたが、隊長や同僚でないことは声でわかったため、安堵の溜息をつきながら、ゆっくりと後ろを振り向いた。
「怪我…なされたのですか?」
テントから漏れる淡い光に照らされた…美しい女性がそこにいた。白衣を着た金髪の女性、淡く照らし出された赤い瞳と怪訝そうな表情。白衣の天使という言葉があるが…その女性が私にはまるで女神のように見えた。
「あの…」
女性の言葉でハッと我に返った。「私はテントに人がいないと思った」と覗き込んでいた理由をやや緊張ぎみに説明した。最初の内は私と距離をとった雰囲気を醸し出していた彼女だったが、私の様子が滑稽だったのか…笑みを見せてくれた。
「ごめんなさいね、消毒液をきらしてしまって…取り寄せてくれないかと相談しに行っていたのよ」
そういうと彼女はゆっくりと歩き出して私の隣でテントの入り口を静かに開けた。
「今度からは気をつけるわ」
「いや…気にする事は無いさ。私もたまに部屋のランタンを消し忘れることだって…あ…」
そう言って、私は部屋の明かりを消し忘れたことを思い出した。私も人の事は言えないな。彼女にその旨を伝えると、彼女は優しく微笑んだ。
「お互い…気をつけましょうね…ふふ」
「ああ…すまないなこんな夜更けに…とんだ長話をしてしまったようだ」
「いいえ、そんなことない。楽しかったわ。また来てくださる?」
「も…勿論。」
私は照れ笑いを浮かべ、微笑む彼女とそこで別れた。あの夜はとても気分良く睡眠が出来たのを…私は今でも覚えている。

テーマ: 自作連載小説

ジャンル: 小説・文学

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