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楊貴妃 (4) 

あの忌まわしい夜が終わり、成人となった私。思い出したくも無いような夜を終えてから…あの日の夜から…私には姿の見えない誰かの声が聞こえるようになっていた。最初にその声を聴いたのは、儀式が終了して眠りにつく少し前で、女の子の声で「…人間とは愚劣な生き物だな」と囁いてきた。夜更けに憔悴しきった私は、重たい瞼を開けて辺りを見渡すが人の気配はない。その刹那、頭に重い衝撃が走ったかと思えば、もう辺りは朝になっていた。


その日の朝、私は何が何だかわからないと言った感じで。声を聴いたという事実に呆けながら布団で一日を過ごしていた。何をするわけでもなくずっと、あのときに聞いた声のことに思いを巡らせては晴れた空を窓から眺めて一歩も外には出なかった。昼過ぎになると成人の儀に参加した村の男達の三人が、私の家に訪問してきた。言葉遣いや態度、全てが私に対してやけに親切だったのを覚えている。村の人達は私に優しく話しかけていたけれど…私はずっと「あの声は一体なんだったのだろうか、それにあの頭痛は一体…」と上の空で客人の話も聞き流し、結局三人が帰る夕方になるまでそんなことを考えて一日を過ごした。




夜になった。呆けていた気持ちも夜の暗闇に溶けていったのか、私は今日一日を振り返っていた。「今日はお客様が見えたのに巫女の私がシッカリしなくては駄目ではないか。」と今日の自分に反省をして、明日からは普段通りに過ごそうと思い立つ。
「明日は…頑張ろう」
元気なく私は一人で呟いていた。こんな日は早めに寝てしまうに限る。私は布団に入り、目を瞑り心を落ち着かせる様に努力する。明日…晴れたら散歩をしよう…そんなことを考えて手足の力を抜いていく。ジワジワと睡魔が私に近づいてくると、頭の奥がどんどん重くなり身体は暖かく、心地好くなっていった。そんな朧気な意識の中でまた声が聞こえた。
「ふむ…今日は三人か…ならば今宵は…」
昨日聞いた女の子の声だ。誰…だろう。睡魔には勝てない…こんなときに表れるなんて正直ズルい…
「まあ…良い…まだ時間はある…」
オバケかなあ…それとも神様なのかな…まどろむ意識の中で私の頭は重さを増し…意識は途切れた。


テーマ: 自作小説

ジャンル: 小説・文学

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