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Alive In My Heart (4)  


 あれから一ヶ月…戦争は激化した。後方支援が中心だった私達の部隊は前線に駆り出され、気がつけば一人、また一人と部隊から仲間が消えていった。それはどこかへ別の小隊や大隊に移動になったという比喩的な意味では決してなく、文字通りに彼等は部隊を去っていったのだ。
「クライド!なにボサっとしてやがる!」
私はレイモンドの言葉を聞いて我に返った。騒音の中で自動小銃を構えたまま呆けていた私はすぐに小銃を構えて引き金をひく。重い衝撃が小刻みに私の身体に響いていく。やはり戦争は嫌いだ、こんなものを撃って何の解決になるのだろうか。地面が音を立てて砂を散らしていく中で、私はそんなことをただひたすら考える。人を殺しているという実感を誤魔化したいがために。
「クライド…お前!死にたいのかよ!」
自動小銃を乱射する私に話しかける男、同じ方向に銃を撃ち、私の真横にいてくれる戦友レイモンド。彼は私を気にかけてくれる唯一の戦友だ。こんな殺伐とした中で彼のように人を気遣える人間がいて本当によかった。憔悴しきった表情で悪態を呟くことしかなかった部隊の仲間の中で、彼は最高の人格者だ。
「すまない、レイモンド。」
「勘弁してくれよクライド、お前が死んじまったら俺は誰と酒を飲めばいいんだよ。」
「部隊の仲間がいるだろう」
「冗談きついぜクライド!死人が酒なんかのむかよ!」
「ははっ…違いないっ…」
あれから一ヶ月…戦争は激化し続けている。その証拠…とは言わないが私達の部隊の仲間は大半が戦死した。レイモンドと私が火薬庫に行き、部隊の弾薬を供給している間に。大きな爆音と衝撃の後、仲間のいた塹壕は跡形も無く消し飛んでいた。塹壕に戻ったレイモンドと私は呆然と立ち尽くし、頭上を横切る爆撃機の飛行機雲を、ただただ見つめることしかできなかった。
 撃ちつくした弾倉を投げ捨てて、腰に挿した新しい弾倉を取り出す。馴れた手つきで弾を込め、前方に向けて私は構える。
「第4小隊の生き残りは俺とお前だけだ、クライド。俺はお前をあいつらみたいに死なせやしねえよ。」
レイモンドは私にそう言うと肩をひとつ叩く。それは今回の作戦で「塹壕を降りていく」という合図を意味している。安全を確保して影に隠れた後、私はひとつ頷く。
「頼りにしてるぞ…レイモンド」
「任せておけクライド。」
戦場に似つかわしくない笑い声を響かせた後、私達は塹壕を駆け下りた。


テーマ: 自作連載小説

ジャンル: 小説・文学

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