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Alive In My Heart (5)  

 前線を経験し、あれから一ヶ月が経っても戦況に変化は無かった。どちらが勝っているのか、どちらが負けているのか。いや、それどころかこの戦争は本当に終わるのだろうか。毎日繰り返される日々に安息はなく、衛生テントを本拠にする医療班すらも前線に駆り出される始末だった。終わりのない日々を繰り返して、私は銃を撃ち続けている。もう戦死した戦友、レイモンドのことを思い出さないように───。


「おいクライド、お前異動が決まったそうじゃないか」
「えっ…?」
「惚けるなよ…ってまさか聞いてないわけじゃないだろう?」
「いや…私は初耳だ…」
上層部の兵力分散の方針により、私は前線の狙撃部隊に異動が決まったのだとレイモンドは言った。
「しかしどうして急に?」
「おいおいクライド…俺に聞くなよ。直接隊長に確かめに行ったらどうだ。」
「それもそうだな…」
私はレイモンドに礼を言い、分隊長の元に真偽を確かめにいくことにした。レイモンドの話によれば彼はそのまま前線の歩兵部隊で、私だけが引き抜かれたとの事だった。真偽を確かめるべく簡易式テントの薄手の扉を開けて、隊長の待機するテントへと歩く私の足取りはどこか重く、ぬかるんだ泥の地面にそのままめり込んでしまうかと錯覚してしまう。あまり遠くない場所にある隊長のテントはどこか重たい雰囲気を醸し出していた。私は隊長のテントの前で遠慮がちに入り口から声をかけると、テントの中から低い声が私の声に答えた。間違いなく隊長の声だ。私は一言「失礼します」と言った後に入り口をそっと開けた。
 数時間後、隊長の話を聞き、レイモンドの話が本当だったと気付かされた頃には、もう夕日がすっかり野営テントを茜色に染めていた。私は溜息を一つ吐き、薄く白い色をしたと吐息を見つめる。戦場では出会いと別れが交差していることを、旧部隊の仲間が死んだときに理解していたものの、私は今まで戦場で実感しなかった感情を感じていた。遠ざかる夕日を見ながら、私はこれから別々の部隊となるレイモンドのことが…何となく気がかりだった。今になって思えばこの頃に感じていた焦燥感はレイモンドとの永遠の別れを予感させていたのだろうか。
 だからレイモンドが戦死したと聞かされたとき、私は別段驚くこともなかった。何となく感じていた…あの予感は的中したのだ。ただただ…それだけを感じていた。それ以外を考えることを脳が拒否していたのかもしれない。新しく入った狙撃部隊の隊長から、「彼は前線で敵の弾丸に撃たれた」と聞いたときから「ああ。また最初と同じさ、ひとりで酒を飲み、苛立つ日々に戻るだけ」そうやって自分を誤魔化しながら、スコープを覗き何人もの兵士を撃った。撃って撃って、銃を撃つこの衝撃でこんな記憶も吹き飛んでしまえば良いと、一人。また一人。身体を弾丸で貫いていった。
 しかし、ジワジワと失ったものの大きさにも私は気付き始めていた。「ああ、もう部隊の仲間とは仲良くなど出来ない。これ以上…大切な仲間を失いたくない…こんなに苦しむくらいならばいっそ交流を持たない方がマシだ…」何人もの兵士を撃ち続けながら、そう思い始めたときから…私は部隊で孤立し始めていた。いや、本望だ。親睦を深めた仲間が死ぬのは…もう見たくなかった。

テーマ: 自作連載小説

ジャンル: 小説・文学

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Tears of intersection 

僕の脳内バンド[Intersection street trees]のデビュー曲。



1'st デモシングル。
「Tears of intersection」




影を縫われた輪舞曲 大樹の陰から手を振る
爪の剥がれた奏鳴曲 凍え咲くや鏡石
消えた婀娜の円舞曲 影が示す指先の葉擦れ
きっと託してるのでしょう 「現を弾く」縊死と決めた


Bunny's eyes 日没に響く 虚無の音色
Bunny's eyes 狐狸が笑う 有象無象のトランプ兵

永久に狂い咲け黒百合 鼓動が灯る事は無い
(あああああああ)
舞散る儚さひとひらに 鼓動は時を紡ぐ
(あああああああ)


私は夜に咲く街路樹 白波の幻想踏み固め 理に別れを告げる
風に散る街路樹 黒き落ち葉を踏みしめ 貴方の道となれ






主旋律が定まらなくて結構な勢いで四苦八苦。最初はギターでのインストを作りますので、調子に乗ったら歌も歌おうかと考え中。ベースとシンセサイザーに重点を置くのが今回の課題ですので、なんとか似非シンフォニックな感じになってくれれば幸いです。今月中に作りたいのですが…果たしてどうなることやら。イントロも間奏も曖昧なままです。ええ、アウトロは考えてもいませんでした。せめて何回か聞きたくなるような曲調にするのが目標ってことで、未完成作品。今宵もせっせと主旋律作り。せめて通して弾けるくらいにはしよう。コードは後回しです。

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Alive In My Heart (4)  


 あれから一ヶ月…戦争は激化した。後方支援が中心だった私達の部隊は前線に駆り出され、気がつけば一人、また一人と部隊から仲間が消えていった。それはどこかへ別の小隊や大隊に移動になったという比喩的な意味では決してなく、文字通りに彼等は部隊を去っていったのだ。
「クライド!なにボサっとしてやがる!」
私はレイモンドの言葉を聞いて我に返った。騒音の中で自動小銃を構えたまま呆けていた私はすぐに小銃を構えて引き金をひく。重い衝撃が小刻みに私の身体に響いていく。やはり戦争は嫌いだ、こんなものを撃って何の解決になるのだろうか。地面が音を立てて砂を散らしていく中で、私はそんなことをただひたすら考える。人を殺しているという実感を誤魔化したいがために。
「クライド…お前!死にたいのかよ!」
自動小銃を乱射する私に話しかける男、同じ方向に銃を撃ち、私の真横にいてくれる戦友レイモンド。彼は私を気にかけてくれる唯一の戦友だ。こんな殺伐とした中で彼のように人を気遣える人間がいて本当によかった。憔悴しきった表情で悪態を呟くことしかなかった部隊の仲間の中で、彼は最高の人格者だ。
「すまない、レイモンド。」
「勘弁してくれよクライド、お前が死んじまったら俺は誰と酒を飲めばいいんだよ。」
「部隊の仲間がいるだろう」
「冗談きついぜクライド!死人が酒なんかのむかよ!」
「ははっ…違いないっ…」
あれから一ヶ月…戦争は激化し続けている。その証拠…とは言わないが私達の部隊の仲間は大半が戦死した。レイモンドと私が火薬庫に行き、部隊の弾薬を供給している間に。大きな爆音と衝撃の後、仲間のいた塹壕は跡形も無く消し飛んでいた。塹壕に戻ったレイモンドと私は呆然と立ち尽くし、頭上を横切る爆撃機の飛行機雲を、ただただ見つめることしかできなかった。
 撃ちつくした弾倉を投げ捨てて、腰に挿した新しい弾倉を取り出す。馴れた手つきで弾を込め、前方に向けて私は構える。
「第4小隊の生き残りは俺とお前だけだ、クライド。俺はお前をあいつらみたいに死なせやしねえよ。」
レイモンドは私にそう言うと肩をひとつ叩く。それは今回の作戦で「塹壕を降りていく」という合図を意味している。安全を確保して影に隠れた後、私はひとつ頷く。
「頼りにしてるぞ…レイモンド」
「任せておけクライド。」
戦場に似つかわしくない笑い声を響かせた後、私達は塹壕を駆け下りた。


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楊貴妃(5) 

「全く…手間取らせてくれるな…いや、流石は巫女の家系というべきか…まあ良い…これでどうとでもなる…ふふ」
喜びに私は独り言を喋らずにはいられなかった。とても気分が良い。この身体では始めての高揚かもしれない。四肢を震わせて感触を心から感じとる。やはりこの身体を選んで正解だった。もっともこれは賭けのようなものではあったが…巫女の血は良くも悪くも私に力を与えたというわけだ。本来ならばこの娘が生まれる際に意識を完全に奪い取り、自我を破壊し尽して私専用の身体として誕生することも出来たというのに…この小娘の母親のせいで一度は消失しかけてしまった。流石の私もまさか自分の命と引き換えに私を封印する馬鹿がいるとは思わなかった。
「夜は始まったばかりか…」
しかし…この娘はやはり私が目をつけただけはあった。成人の儀などというくだらない儀式のお蔭で私も復活を遂げる事が出来た。全ては人の欲望の賜物だ。笑いが止まらない。古い文化に縛られずに、大人しく成人の儀を取りやめればよかったものを…この小娘の成人の儀での恨みや恐怖の感情が私を呼び起こしたのだからな。いくら妖狐と言えど…その落とし種にいくらも力は無いと言うのに…私をここまで成長させるとは、やはり人間は愚かとしか言いようがない。
「すまないな、つきね。お前の身体は有効に使わせてもらうぞ。」
聞こえる筈の無い言葉を、私は自身に語りかける。せいぜい心地好く眠るが良いさ。お前が目覚めることはも最早、生涯有り得ないのだから。





20年前に村で成人の儀を取りやめにするという話が出たとき、表向きは賛同する人間が多数だった。巫女の一家が中心となり「少女や少年を慰み者にすることはあってはならない」と言い出したのが全ての始まりだった。その当時、巫女の一家は長を務め事実上は村の取締役と言っても過言ではなかったため、事実上、この儀式は無くなったものだと村人達は感じていた。しかしそれからというもの、巫女の家系に災難が続き、巫女の一家は現在のような状態になってしまった。20年前に「成人の儀」を取りやめてから……である。つまり、この厄災が自分にもふりかかるのではないかと恐れた村人によって今回の「成人の儀」が決行されたというわけなのだが…その行為が結局…村を崩壊させるほどの結果を招く事は…誰もが予期せぬことであっただろう。


テーマ: オリジナル小説

ジャンル: 小説・文学

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Alive In My Heart (3) 

 銃弾が飛び交う戦場に来てからといって、私は特に戦場に来たという実感が沸いたということは無かった。年齢もバラバラな部隊の仲間は皆、連発が可能な銃を肩から提げて同じ服を着る。私には初めての射撃経験だったが、一週間もすればそんなことにも慣れてしまった。毎日をただ命令されるままに走り、ただ命令されるままに銃を撃った。私達の部隊は常に前線からすこし離れた場所での後方支援が主な作業で、部隊の誰かが負傷したという話も聞かなかった。無論、そんな毎日に娯楽が無いのは間違いなく、私は夜になるとイラだちながらも酒を煽っては自分を誤魔化して眠りについていた。
 ある日、別段変わった訳でもなくそれを繰り返していた私は、誤魔化して作った気分が良い状態を維持したまま「たまには外に出てみよう」と思い立ち、ウイスキー瓶を片手に外に出ることにした。テントを抜けて、焚き火の周りで他の部隊の酔った男が、私達の部隊の仲間と談笑をしているのを横目で見ながら。私は一人、遠くでランタンを小さく照らしているテントに興味本意で近づいていった。
 湿地帯は足場が悪い。ぬかるむ足場に転びそうになりながらも、私が何となく近づいたランタンの灯るテントには「衛生テント」と屋根に記載されていた。私がテントに近づいても、テントの中は人が入っているのかいないのかが定かではない程に静かであった。「もしかしたら誰も中にいないのではないだろうか…」そう思った私は無性に明かりの燃料が勿体無いと感じ、テントの入り口を徐に開けて中を覗き込んだ。
「どうかされましたか?」
ふいにテントを覗き込んでいる私の後ろから女性と思われる声が聞こえた。すこしドキリとした私は一瞬だけ体を強張らせたが、隊長や同僚でないことは声でわかったため、安堵の溜息をつきながら、ゆっくりと後ろを振り向いた。
「怪我…なされたのですか?」
テントから漏れる淡い光に照らされた…美しい女性がそこにいた。白衣を着た金髪の女性、淡く照らし出された赤い瞳と怪訝そうな表情。白衣の天使という言葉があるが…その女性が私にはまるで女神のように見えた。
「あの…」
女性の言葉でハッと我に返った。「私はテントに人がいないと思った」と覗き込んでいた理由をやや緊張ぎみに説明した。最初の内は私と距離をとった雰囲気を醸し出していた彼女だったが、私の様子が滑稽だったのか…笑みを見せてくれた。
「ごめんなさいね、消毒液をきらしてしまって…取り寄せてくれないかと相談しに行っていたのよ」
そういうと彼女はゆっくりと歩き出して私の隣でテントの入り口を静かに開けた。
「今度からは気をつけるわ」
「いや…気にする事は無いさ。私もたまに部屋のランタンを消し忘れることだって…あ…」
そう言って、私は部屋の明かりを消し忘れたことを思い出した。私も人の事は言えないな。彼女にその旨を伝えると、彼女は優しく微笑んだ。
「お互い…気をつけましょうね…ふふ」
「ああ…すまないなこんな夜更けに…とんだ長話をしてしまったようだ」
「いいえ、そんなことない。楽しかったわ。また来てくださる?」
「も…勿論。」
私は照れ笑いを浮かべ、微笑む彼女とそこで別れた。あの夜はとても気分良く睡眠が出来たのを…私は今でも覚えている。

テーマ: 自作連載小説

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